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坂本龍馬の絆礼装「とある山での出来事」
坂本龍馬の絆礼装の解説
「とある山での出来事」イラストレーター「―――」
―――最初は騙して喰らうつもりであった。
その間抜け面をした人間をどう騙し、この忌ま忌ましい鉾を抜かせ、いかに喰らってやろうかと吾は考えていた。だがその人間は訳を聞くわけでもなく、ひょいと鉾をつかむと何のためらいもなく引き抜いた。
吾を封じた忌ま忌ましい奴らに恨みを晴らすためだけに永らえ続けた吾に対して、こともあろうにその人間は「そいつは大変だったろうに」となんでもないことのように言い放ち山を下りて行った。
あまりにその人間がなんでもないことのような顔をしていたので、そういわれてみれば吾はなんでもなかったことのような気がして、あれほど恨みを抱いていた忌ま忌ましい奴らのことをすっかり忘れてしまった。
そんなことを考えていると、どうにもあの人間のなんでもない顔がどうにも吾にはなんでもなく思えてきた。
そういえば喰らうのを忘れていたと思い立ち、吾はその人間を追うことにしたのだ。
そんなとある山での出来事。