八犬伝のライトオタクから失礼するゾ〜。
今回のfgoのイベントで出てきた子たちの既読者目線解説と元ネタを語るゾ〜。
翻案版と数種類のコミカライズしか読んでない上に独自解釈もモリモリだゾ〜。 pic.twitter.com/z0KoXF3rg4— 黒沼 (@numanuma_black) 2022年07月11日
犬塚信乃=シノ
元祖「男の娘」主人公。八犬伝のセンターと言えばコイツ。死産や折衷が続き長生きして欲しいと願った両親が女の子の格好をさせて育てた。
幼馴染の浜路(はまじ)とフラグが立ってたが死に別れ、父親は目の前で自害。しかし何処かにいると言われる残り7人の兄弟を探して旅に出る。— 黒沼 (@numanuma_black) 2022年07月11日
犬種は黒柴。
うんうん、主人公だし日本人に馴染み深い柴犬になるのは順当だね。
図太い性格になったのは死んでも追っかけてくる浜路(純愛です)との関係を割とあっさり跳ね除けてしまう辺りからか。
後に見た目も名前も故人そのものな浜路姫ともフラグが立つし。
— 黒沼 (@numanuma_black) 2022年07月11日
犬川壮介=ソウスケ
犬塚信乃の最初の仲間。
武士の血を引くが、両親と死に別れ「額蔵」という下男として日々ひもじい想いをしながら武士として返り咲くことを願い続ける。
コイツの玉はまぁまぁの頻度でどっか行く。拷問されたりシノとは表面上は仲悪く振る舞って裏で仲良くしたりと苦労人枠。— 黒沼 (@numanuma_black) 2022年07月11日
公式にも苦労犬として描かれてて草。
バーニーズ・マウンテンドッグなのは恐らく「温和でありながら自分で考えることの出来る」単独行動期間の多い壮介の立場と性質を意識した選択かなと。
最初にシノの仲間として出てくるのに、正式な仲間になるのが割と4〜5番目当たりなんですよ。
— 黒沼 (@numanuma_black) 2022年07月11日
壮介、作中でシノと読者にとって親しみやすいポジションなんだけど「じゃあ壮介ってどんな奴?」って聞かれると困るぐらいには活躍が地味。
今回以蔵さんと組んでたのは「拷問受けた仲間として親近感あるからか?」と思って見てた。
— 黒沼 (@numanuma_black) 2022年07月11日
犬山道節=ドウセツ
初登場時は「ミステリアスで知性的な炎使い」だったが、再登場後に「強かった敵は味方になると弱体化する」法則を食らいトラブルメーカーに転身。
浜路の兄という設定もなんとなく生かしきれず、コイツの連れてきた乳母のババアが戦艦落としたりとライブ感の犠牲となった。
— 黒沼 (@numanuma_black) 2022年07月11日
八犬士たちのすれ違い身内バトルは大体この道節がやらかすので「初期平成ライダー」「ガンダムW」で通じる人にはポジションと扱いがわかると思う。
犬種がコーギーなのはこのトラブルメーカーを「吠えぐせ」に当て嵌めたものか。
個人的には大柄な熱血漢の印象のが合う。— 黒沼 (@numanuma_black) 2022年07月11日
犬田小文吾
「犬太殺しの小文吾」略して犬田小文吾。
ストレートな「気は優しくて力持ち」な力士キャラだが、そこに人を殺めたという暗い過去が添えられギャップが炸裂。
ちなみに江戸時代、力士は人気職業で「股の毛をぜひ処理させて欲しい」と金持ちが線香で焼く娯楽があったらしい。
— 黒沼 (@numanuma_black) 2022年07月11日
俺たちにマラミュートの仔イッヌという概念を教えてくれてありがとう。
大型犬で温厚、という小文吾のイメージを割とストレートに選んでる形かなと。ちなみに小文吾、作中で毒殺されそうになる展開があるので食いしん坊ネタはそこも意識されているやも?
— 黒沼 (@numanuma_black) 2022年07月11日
犬坂毛野=ケノ
なんで8人中2人も男の娘がいるんだ馬琴。
なぜなら江戸時代、力士と火消しと女形はモテモテの職業だったからだ!
というわけで、恐らく当時はニコイチの大柄で温厚な小文吾と小悪魔的でクレバーな毛野、この2人のBL妄想が盛んであっただろうと思われる。
— 黒沼 (@numanuma_black) 2022年07月11日
とにかくまぁ犬坂毛野といったら
女よりも美しい
微笑んでても目は笑ってない
復讐のために手段を選ばないとかなり尖ったキャラ付けされてるので、現代においてもその知性と美貌の盛りっぷりにはいとまがない。
男からもその容赦なさが好まれるタイプの人気キャラ。— 黒沼 (@numanuma_black) 2022年07月11日
犬種がポメラニアンなのは「愛玩動物」としての可愛らしさ=美貌と、その性格の強気っぷりからかと。
「確かに犬坂毛野を仔イッヌ化したらそうなるわ!」な選択なので個人的にも納得。
真っ白なのも美貌にこだわる毛野っぽい。
— 黒沼 (@numanuma_black) 2022年07月11日
ちなみに犬坂毛野、初登場に1人で城一個落としてて赤子すら切り殺す鬼っぷりだったのでその場にいた小文吾ですらちょっと引いてる様子ある。
毛野はかなり単独行動が多く仲間になるのも実は8人の中で最後だった。
— 黒沼 (@numanuma_black) 2022年07月11日
犬飼現八=ゲンパチ
初登場時、すれ違いにより信乃と屋根の上に登り切った張ったをした岡っ引き。
当時の浮世絵で屋根登ってたら信乃かコイツと思ってもらって良い。— 黒沼 (@numanuma_black) 2022年07月11日
仲間になってからは地味化の一途を辿りなんとなくパッとした活躍が見えないまま終わる。
そのためか、メディアミックスすると地味化orイロモノ系に二極化しがち。
顔のアザ以外に描写が薄いので「どの方向に8人バラけさせるか」の帳尻合わせをやってくれる便利枠とも言える。— 黒沼 (@numanuma_black) 2022年07月11日
なので、ゲンパチがレトリバーなのも「まぁ話せばわかる奴だしトラブルらしいトラブルもないし何よりレトリバー枠は欲しいよねコブンゴはほらマラミュートだから…」ぐらいの理由だと思われる。
ちなみに深く読み込むと大角と仲が良いっぽい。
— 黒沼 (@numanuma_black) 2022年07月11日
犬村大角=ダイカク
俺の推し…という点を除いてもコイツはちょっと説明が長くなるのでご容赦願いたい。
まず、初登場時に出会ったのが信乃ではなく現八。既に良い歳で結婚していたのだが離婚調停中。しかも実の父親と後妻によって夫婦共々虐待受けてるというドン底からのスタート。
— 黒沼 (@numanuma_black) 2022年07月11日
実の親に虐待され続けていたが近所のおじさんに助けられ養子に。そこの娘とも良い仲になりそのまま結婚。
しかし、このおじさんが亡くなってしばらくしたら妻の腹が膨らんできた。
「俺との子供のはず、ないやんけ…」
というわけで別居開始。そこにやってくる実父と継母の虐待タイム。
— 黒沼 (@numanuma_black) 2022年07月11日
「あー、歳かしらー調子悪いわー。どっかに万能薬になる胎児をくれる嫁はいないかしらー」
「私妊娠してないです。ほらあなたからも言って」
「えっ…」
「もういい(切腹)」
— 黒沼 (@numanuma_black) 2022年07月11日
実は妻の妊娠は大角の礼の珠がやらかしてた偽妊娠だったのだ!
しかも実父は化け猫が化けてた偽物の父親!
というのがあれよあれよと明るみになって化け猫をぶっ飛ばし妻も死亡。
初登場からいきなり未亡人とかいうトンデモ展開から仲間になったのが大角である。— 黒沼 (@numanuma_black) 2022年07月11日
その後は占い詐欺でスパイやったり憎き継母を犬士たちと協力してぶっころころころしたりする過激な奴に変貌。
登場自体は8人の中で最後なのだが、毛野と並んで八犬士たちの暗部とか陰惨な分野を担当するポジションに収まった。
— 黒沼 (@numanuma_black) 2022年07月11日
いや本来この拷問イベント、犬川壮介が食らった奴ですよね!?
— 黒沼 (@numanuma_black) 2022年07月11日
ここですっ飛ばしてゲンパチが飛んできてダイカクが味方になる様子から、おそらく犬村大角の化け猫イベントと、犬川壮介の拷問救出計画をミックスして「妖怪に虐められているダイカク」という形に落とし込んだのだと思う。
仲間になる順番も原作通りなので。— 黒沼 (@numanuma_black) 2022年07月11日
だからこの「誠によい子なり」は「実父と信じた化け猫に甚振られ続けても親への献身を辞めなかった元の大角をイメージしてるんだろうな、とはわかるんだけどなんでシェパードなんやろと…我慢強さ由来?
— 黒沼 (@numanuma_black) 2022年07月11日
というわけでちょっとこの辺りはソウスケをメインにしたからか、大角のエピソードだけ異色だから組み込み難かったのか(実際、生きた人間ではなく妖怪に酷い目に遭わされたのはここと化け狸の妙椿しかない)なんか違うな?ってのはあったりする。
— 黒沼 (@numanuma_black) 2022年07月11日
大角周りの参入は「ここで現八視点のスピンオフやります…からの、新犬士 大角 参戦!」ぐらいの横道感があって、信乃視点での仲間入りという点では結構特殊感あったりする。
終盤仲間になる毛野や親兵衛は元から特別扱いだからわからんくも無いんだけど。
— 黒沼 (@numanuma_black) 2022年07月11日
犬江親兵衛=シンベエ
小文吾の甥として生まれた赤子。彼は生まれつき片手が開けず「前世で何か呪いでも受けたのか」とこそこそされる存在だった。
そんな息子の手に胸を痛めていた小文吾の義理の弟、房八はなんと信乃とクリソツの顔をしていた。
— 黒沼 (@numanuma_black) 2022年07月11日
訳あって房八とその妻のヌイが死亡し、同時に初めて親兵衛の片手が開かれる…仁の珠の登場である。
「4歳のこの子、まだ戦えないので私が預かりますね」
と幽霊になった伏姫が勝手に拉致って育てた結果いきなり青年姿で再登場する。
— 黒沼 (@numanuma_black) 2022年07月11日
そこからはもう、本編そっちのけで馬琴の贔屓贔屓贔屓!
南総を舞台にしてたはずなのに彼は京都にも行くし、そこで偉いおっさんから尻穴を狙われるし、かと思えば伏姫からもらったスーパーアイテムで敵も味方も全回復するチートっぷり。
多分すげぇアンチが多かったと思う。
— 黒沼 (@numanuma_black) 2022年07月11日
でも仕方ない。リアルで当時、馬琴の孫がこのくらいの歳で「俺の孫が可愛いので見て」をしたかった江戸時代、インスタもTwitterもないので自作で孫自慢をするしかない。
そのため上中下の後さらに下の下と活躍を書き続け通称「ゲゲゲのゲ」と呼ばれるレベルの本編進めろ案件が発生した。
— 黒沼 (@numanuma_black) 2022年07月11日
chikumashobo.co.jp/product/978448…
この辺のやれやれ話はこちらの本の冒頭で読めるのでオススメ。
八犬士に男の娘が2人いる理由もしっかり推測されている。恐らく文殊菩薩関連のネタだろうとのこと。
— 黒沼 (@numanuma_black) 2022年07月11日
信乃がチームのセンター型の主役なら、親兵衛は単体デビューで活躍するタイプの主役。
というわけでこの2人は出番が多く本編での活躍も多い。親兵衛は最年少でありながら八徳の先頭『仁』を務めるため特殊ポジションのスーパーチートとしてメディアミックスでも活躍している。
— 黒沼 (@numanuma_black) 2022年07月11日
こうして見ると八犬伝、馬琴のライブ感で結構グダグダな展開になる部分も多いし終盤に八犬士が揃ってからの合戦は正直ワクワクし難いんだけど「当時の人々はこの連載を待ち遠しく読んでたんだなぁ」と思えばまぁ気にならなかったりする。
— 黒沼 (@numanuma_black) 2022年07月11日
この機会に八犬伝を読んでみたい方へ。
とりあえず原作に忠実かつ読みやすいという点で「碧也ぴんく版」をオススメ。今なら文庫版で8冊完結。終盤ちょっと駆け足だけどよく完結したってレベル。
当時の風俗や考察が読みたい人は「八犬伝の世界」がオススメ。馬琴のライブ感の推測がすげー面白い。
— 黒沼 (@numanuma_black) 2022年07月11日
あとザックリ全体を把握してニヤニヤしたいならコーエーの爆笑シリーズオススメ。
これのお陰で古典も親しみ易くなるし、水滸伝とか封神演義、ギリシャ神話もあるからfgoユーザーが入るにはとっつき易いよ。
爆笑八犬伝 (歴史人物笑史) amzn.asia/d/h1r1QI1
— 黒沼 (@numanuma_black) 2022年07月11日
Q.力士って人気職業だったの?
A.相撲は神事の延長でした。
なので、雑に括ると神父や住職などの聖職者と近い枠に力士はいたのです。
しかも当時の栄養状態から「ふくよかな肉体」は富と健康の証。そんな恵まれた清らかな男たちが、裸同然の姿で絡みあってたのが相撲です。
— 黒沼 (@numanuma_black) 2022年07月12日
Q.当時から腐女子っていたの?
A.衆道が公に認められてたので居たんじゃないでしょうか。
同時代にウケた「東海道中膝栗毛」も、冴えないおっさんカップルが旅行しつつやらかしまくる汚ねぇルパン三世です。
— 黒沼 (@numanuma_black) 2022年07月12日
当時もあったのね、早く話進めろって案件……