#FGO バーサーカー清少納言(←慣れたと思ってたけど改めて書くとすごい字面だ)の第三再臨時のセリフに出てくる「クラゲの骨を探しに行こう!」というフレーズは、『枕草子』三巻本(新潮日本古典集成)97段「中納言まゐりたまひて」が元ネタです。以下、知っている範囲で解説いたします。
— たられば (@tarareba722) 2021年09月16日
ある日、中宮定子の元へ訪れた中納言(藤原隆家。中関白家の一人で定子の弟)が訪れ、「(定子に)扇を差し上げようと思っていて、それですばらしい扇の骨を手に入れたんですが、あまりにすばらしくて、これに合う(貼る)紙が見つからないんです」と言いました。
— たられば (@tarareba722) 2021年09月16日
「今まで誰も見たこともないような、本当の本当に見事な骨なんですよ」と力説する隆家の横から、清少納言が「だとしたらそれ、扇の骨ではなくクラゲの骨なのでは…?」と言うと、隆家は「(見事な切り返しなので)その話は自分が言ったことにしよう!」と言ってたいそう喜んだとのこと。
— たられば (@tarareba722) 2021年09月16日
平安中期の当時、「クラゲの骨」は「今まで誰も見たことがないけれど、もし長生きして幸運に巡り合えば見られるもの」と考えられており、『元真集』に「世にし経ば くらげの骨は見もしてむ 網代の氷魚はよるかたもなし」という歌もありました。
— たられば (@tarareba722) 2021年09月16日
この「見たことがない幸運」という意味に加えて、クラゲは「海月」と書き、「うみつき」とも読めます。この定子と隆家と清少納言のやりとりが具体的にいつだったかは諸説ありますが、定子が臨月の頃、もしくは出産直後だった(つまり「産み月」)説が有力視されています。扇は出産祝いの品なのではと。
— たられば (@tarareba722) 2021年09月16日
いずれにせよ、「クラゲの骨」とは、敬愛する主人・中宮定子の弟が、姉に向けたプレゼントについて興奮気味に説明し、その際にうまい言い回しを加えて隆家や定子に感心されたという、清少納言にとってかけがえのない時を切り取ったフレーズなのですね。それを長生きして一緒に探そう、と。
— たられば (@tarareba722) 2021年09月16日
(編集後記)
「定子とは出来なかった」と書いて、消しました。>それを長生きして一緒に探そう、と。
— たられば (@tarareba722) 2021年09月16日
@tarareba722 ナギこさん、ほんと細かいところまでエモさの塊。 そして、それを見つけて解説してくれていつもありがとうございます
— だむー (@fu_damu) 2021年09月16日
@tarareba722 解説ありがとうございます!
たらればさんのツイートを読んだからこそ、今までより好きになりました。
現代に『教養ある貴人』がいたら、こんな会話をされるのか〜、と妄想…
— siraki (@kavnXXX) 2021年09月17日
何が素敵って、こうやって公式が投げたボールを、ボールだと気付いて皆に投げ渡してくれるたらればさんの様な専門家が居る事だと思うんですよね。
何方が欠けても上手くいかない。— TM (@TM_KG) September 17, 2021
FGOは異人の言葉を再現してるあたりすごいなぁ。
それにしても清少納言の発想力、発言力は天才的だと思う。
昔の人でも今風に言うなら「え?海月の骨とかマジエモい!その例えもらってok?」ていうぐらいだからすごいよね。#FGO— コラビ@くらひ (@karaokenue) September 17, 2021
この話を見て一旦諦めたバーサーカー清少納言を取りに行くことに決めました…
— ぴ (@Blackymarine) September 17, 2021
@tarareba722 エモい
— you milano (@ft28) 2021年09月16日
助かる。(ガチ勢よる解説を)丁度切らしてたんだ